2017年11月06日

あの人に会いたくて御所野遺跡(後編)

あの人に会いたくて御所野遺跡(後編)

この記事は「あの人に会いたくて御所野遺跡」の後編です。前編はこちら
岩手県一戸町の御所野縄文公園で開催される「ごしょの縄文フェス」前日。
二戸駅で藤岡みなみさん、マネージャーさんと合流し、スタッフさんの運転する車で御所野縄文公園に到着。
藤岡みなみさんが研究員の方に遺跡を案内してもらうのについて行く。

藤岡さんは色々と質問したり、感嘆の声を上げたりと縄文好きっぷりを発揮していた。そしてめちゃくちゃ可愛い。一通り案内してもらったら打ち合わせへ。

縄文謎解きゲームとは

縄文ZINE」プロデュースによる縄文謎解きゲームのストーリーは、曲がったことが大嫌いな謎の男「怪盗アルセーヌ・ド・グー」が、御所野の「鼻曲がり土面」の鼻を真っ直ぐにしてしまうという事件が起き、たまたま居合わせた名探偵・藤岡みなみさんが、参加者の協力を得て怪盗と対決する、というもの。
謎解き自体の難易度は低めで、御所野遺跡の色々なところを巡って縄文を学んでもらうことがメインのゲームである。

クロスワード

最初の謎は博物館内に散りばめられた言葉を集めて完成させるクロスワード。プロの方に製作を依頼したとのこと。
縄文時代の知識が問われるなぞなぞや、「どぐぽた」小林さん作のちょっと凝ったビジュアル問題もある。
縄文時代の人たちがわざと住居を燃やしたという「焼失住居」にちなんだあぶり出しや、縄文川柳、ラップにチャレンジする場面も。各所で縄文人に扮した御所野のスタッフさんが手助けをしてくれる。

注口土器問題
注口土器の模様がヒントになっている問題。「どぐぽた」小林さん作。

スタッフさん扮する「竪穴子規」による川柳、「MC土器」によるラップも仕上がっていた。「縄文ZINE」編集長望月さんによるなかなかの無茶振りだ。どうしても謎解きゲームに川柳とラップを組み込みたかったらしい。

そして謎解きゲームの打ち合わせで衝撃の事実が発覚する。
いや、事前に言われていたし台本ももらっていたので知ってはいたのだが、おれの役は藤岡みなみさんと一緒に行動する場面が多いスタッフだった。打ち合わせで改めて自覚した。これは大変なことになりました。

おれの役割は、藤岡みなみさんが出演しているトークショーの最後に割って入り、事件が起こったことを藤岡さんに報告する役。
そして謎解きゲームのスタート時に、事件が起こったことと、参加者へのミッションを藤岡みなみさんと一緒に伝える役。
さらに謎をすべて解いた参加者のための解決編で、藤岡みなみさんとともに怪盗ドグーと対決する、という役だ。

おっと、責任重大だな!
とはいえ藤岡さんとのシーンが多いのは約得といえる。
決まった以上はやるしかない。前日はなかなか眠れなかった。

謎解きゲームスタート

いよいよ「ごしょの縄文フェス」当日。

縄文女子会

藤岡みなみさん出演のトークショーは「縄文女子会」。藤岡さんと、御所野遺跡の研究員の女性、地元のラジオのパーソナリティの女性3人で縄文について屋外ステージでトークする。このトーク自体も、縄文が本職の研究員さん、縄文好きの藤岡さん、縄文をよく知らないラジオのパーソナリティさんの3者のバランスがよくてとても面白かったが、時間がやや巻き気味で進んでいたので割って入らなければならない身としては気が気でない。
終わりそうなところを慌てて入り「藤岡さん、大事件が起きました」。これはうまくいった。

みなみさんにご報告
藤岡みなみさんにご報告。(写真:縄文ZINE望月さん)

続いて謎解きのオープニングを2回。こちらも少しセリフを噛んだりしたもののうまくできた。
御所野側で「鼻曲がり土面」の鼻を怪盗がまっすぐにした後の「鼻まっすぐ土面」を用意していたのだが、このクオリティが素晴らしかった。実際にレプリカを製作する方に依頼したそうだ。

鼻まっすぐ土面
鼻まっすぐ土面。これはこれで発掘されたと言われたら信じてしまいそう。

鼻曲がり土面
鼻曲がり土面と比較してみても、よく出来ているのがわかる。

そしていよいよ解決編。
藤岡みなみさん、御所野スタッフ役のおれ、謎解きをクリアしたチームと怪盗が対面するシーン。
怪盗役の方は普段は御所野に勤務する公務員。
なのにシルクハットにマントを羽織り、遮光器土偶の眼鏡をかけた姿で最後の質問や動機の自白などの長台詞を言わなければならない。

怪盗の人

怪盗がかけている遮光器土偶の眼鏡はおれが以前作ったもの。
「また、つまらぬものを作ってしまった」イベントでは片桐仁さんも着用した由緒正しいものだ。
シルクハットとマントは怪盗役本人の私物だそうだ。

解決編は謎解きをクリアしたチームごとに行われるので、同じ場面を30回近くやることになった。藤岡さんもおれも何度も同じセリフを喋ったが、長台詞を何度も喋ることになった怪盗役の方は今回一番大変だっただろう。
遺跡によく遊びに来るという少年に正体がばれそうになる場面もあり、おれは内心あわあわしていたが、藤岡みなみさんはさすがプロなので臨機応変に対応していた。

怪盗との対決
藤岡みなみさんとともに怪盗に立ち向かうおれ。(写真:縄文ZINE望月さん)

御所野縄文公園での最高の1日

役割上、謎解きゲーム自体は見られなかったのだが、解決編に来た参加者の様子をみると、皆さん楽しんでいただけたようだった。
参加人数もほぼ定員いっぱい。アンケートも後で見せていただいたが、ほとんどの意見が好評だった。

ゲーム中
ゲーム中の様子。(写真:縄文ZINE望月さん)

何より御所野のスタッフさんたちが、自分たちの力でこのイベントを成功させたい、という気持ちで取り組んでいるのが伝わってきた。彼らが全力で取り組んでいたからこそ、参加者の皆さんに喜んでいただけるイベントになったことは間違いない。

加えて、日頃から御所野縄文公園が地域の人たちに愛されている、というのもひしひしと感じた。来る人来る人みんな笑顔だった。
地域の人にとってはこの縄文遺跡が生活の一部として溶け込んでいるのだろう。それが不思議で、少しうらやましくも感じた。

縄文人
縄文人になりきってくれたスタッフさん。(写真:縄文ZINE望月さん)

おれは軽い気持ちで行ったにもかかわらず、スタッフさんたちが優しく接してくれたのも嬉しかった。御所野のスタッフの皆さん、その節はお世話になりました。
たくさんのものを得て、温かい気持ちになるイベントだった。

藤岡みなみさんも、事前のイメージ以上にとても素敵な方だった。
好奇心が強くて知的で明るくて、なにより常にめちゃくちゃ可愛かった。
縄文友達になったとおれは勝手に思っているので、いつの日か縄文工作家として一緒になにかできる日が来るのを夢見ている。

ごしょの縄文フェスに関わったすべての人へ、ありがとうございました!

去っていく銀河鉄道

夢のような1日のあとは青森に移動して縄文巡りへ。
翌朝寝坊して乗る予定だったいわて銀河鉄道が目の前を通り過ぎていき、次の2時間半後の電車までどうするか途方に暮れたり、大雨の中何もない縄文遺跡へ行って途方に暮れたりした。

御所野縄文公園
岩手県二戸郡一戸町岩舘字御所野2