2017年08月16日
新しいドリアンアーマーを開発せよ!
ある時、ベトナム在住のライター、ネルソン水嶋君から相談を受けた。
「松本さん、新しいドリアンアーマーの開発をお願いできないでしょうか!」
えっ、何それ唐突!
……でも、やってみようではないか。
※この記事はネルソン水嶋君による記事「匂わないドリアンマンVS狂気の工作博士マドリア」の開発サイドです。合わせてどうぞ。
ドリアンアーマーとは
ドリアン。果物の王様とも呼ばれる。日本ではあまり見かけない高級フルーツだが、ベトナムでは沢山売っているらしい。
友人であるネルソン水嶋君が、彼の運営しているベトナムのおもしろサイト「べとまる」で、ドリアンの皮を鎧のように身にまとい、「ドリアンマン」になる、という企画をやった。
ドリアンを装備したらベトナムで人気者になった話
この様子が話題になり、Yahoo! トピックスにも写真付きで「謎の男」として掲載された。
つまり、彼の言う「ドリアンアーマー」とは、ドリアンを鎧のように身にまとうということ。
これを、一時帰国した際に日本でもやりたいというのだ。
ネルソン水嶋君とはかれこれ7〜8年くらい前からのつきあいである。
彼がTwitterで大喜利を主催していた際におれも参加していて、当時お互い近くに住んでいた(高円寺)こともあり、よく飲みに行くようになった。
彼はその後ベトナムへ行ってブロガーになり、デイリーポータルZ新人賞を受賞して今やライターとして大活躍している。名前はネルソンだが大阪出身。
ネルソン水嶋君。酔っている。高円寺の居酒屋にて。
彼がベトナムでドリアンマンになった時は、実物のドリアンの皮を大量に入手して加工しているが、日本ではベトナムのようにドリアンが大量に出回っていることはないし、匂いも気になるし、おまけにドリアンの皮を着ていると肌がかぶれるらしい。
ということで、ドリアンの皮を別の材料で再現して鎧にすることになった。
ネルソン君が描いたイメージ。ち○こって書くなよな。
参考としてネルソン君が一時帰国した際に、ドリアンの皮を持ってきてくれた。
撮影したがカビがすごくて気持ち悪いので写真は掲載しないけど。
代わりに、ベランダに出しておいたら乾燥して悪魔の口みたいになったのでその写真をどうぞ。
ドリアンの特徴であるトゲが牙みたいになった。噛まれたら肉がもげそうだ。
ドリアンアーマー、どう作る?
さて、どう作るか。
ドリアンの特徴であるトゲトゲはやはり粘土で作るのがいいだろう。
厚紙で鎧の形のベースを作り、その上に粘土でトゲを生やしていけばできそうだ。
まず具体的にどういう形にするか決めるため、もう少し詳しくラフを描いた。
詳しくといってもこの程度だけど。
厚紙はいつも使っているマス目入りの工作用紙を使用する。
マス目入りなので、いちいち測ったり線を引いたりしなくて済むので重宝している。
粘土は、これもいつも使っているハーティソフトという中空樹脂粘土。
柔らかくて軽いのが特徴だ。
工作用紙を切ったり貼ったりして、鎧のパーツを作っていく。
100円ショップで買ったゴムバンドなどで身につけられるように加工。
何か作る際、100円ショップは素材集のように使うのだが、今住んでいる部屋は大きめの100円ショップが近くにあるので、素材調達がぐっと楽になった。
作ったパーツは頭・胸・両肩・両腕・両手の甲・腰・両膝・ベルト・武器(ナックル)・爆弾。
腕につける「ドリアントレット」(ドリアンのガントレット。今考えた)は、片方に「ドリアンシールド」をつけることにした。
シールドのベースは100円ショップで購入したフライングディスク。
材料の節約のため、100円ショップの紙粘土を盛り、その上にトゲを生やすことにした。
ここからの作業は苦行だった。
粘土を適量手に取って鎧のベースにくっつけて尖らせる。
トゲを1本ずつ生やしていく作業は終わりが見えない。
しかも諸々の都合で作業着手が遅れ、約束した撮影日の1週間前にやっと着手。
そこからベースを作ってトゲを生やし始めたのが撮影3日前。
無限に続くトゲ。
自分が作ったトゲで鬼から拷問されるタイプの地獄か。
何とか撮影前日にトゲを生やし終えた。
未塗装で白いので、ドリアンというより地獄の使者の装備っぽさがある。
そこからアクリル絵の具で全体を下塗り。時間がないので少しでも早く乾かすためにエアコンをドライで稼働し、扇風機の風を当てる。
グリーン系のアクリル絵の具で何度か重ね塗り。なかなか色が決まらずに泣きそうになるが、どうにか納得行く色になったので、乾燥させてラッカーをかけたら完成。
撮影当日5:00(約束の時間は10:30)に仕上がるというギリギリっぷりであった。
ドリアンマンのライバルになろう
せっかくなので、ドリアンマンの敵キャラもほしい。
そこで、おれ自身がドリアンマンのライバルになることにした。
その名は「ドクター・マドリア」。
新しいドリアンアーマーの開発者でありながら、狂気にとらわれてドリアンパワーを悪用しようとするマッドサイエンティストである。
新しいドリアンアーマーの開発のために、彼はドリアンからパワーの源「ドリアンシード」を抽出することに成功。ドリアンシードのエネルギーを「エネルギー感応樹脂」に付加することで新しいドリアンアーマーを完成させた。
ドリアンシード。100円ショップで買った光るボール。
彼はかつて実験中の事故で死亡した恋人、小夜子の脳細胞を集めて培養し、小夜子の復活を夢見ていた。
ドリアンアーマーの制作過程で目の当たりにしたドリアンシードのあまりのエネルギー量にふと魔がさし、ドリアンパワーを与えることで小夜子の脳細胞を活性化させようと試みる。しかし小夜子は暴走し、逆に彼を洗脳してしまうのだ。
ドーモ、私ガ「ドクター・マドリア」デス。
悪のマッドサイエンティスト「ドクター・マドリア」の誕生である。
ドリアンパワーを独占するため、自らが生み出したドリアンマンを亡き者にしようと考えている。
ドクター・マドリアの武器は「ドリアンビーム」。
ドリアンのエネルギーを放射するビーム銃だ。サングラスにつけた「ドリアンシード」の結晶からエネルギーを供給している。
100円ショップで買った水鉄砲を工作用紙で作った小手の上につけてトゲを生やした。
生えているケーブルは縄跳び。
なお「マドリア」の「マ」はマッドサイエンティストの「マ」だ。「ドリア」はドリアンの略。
これが新しいドリアンアーマーだ
ドリアンマンとドクターマドリアの対決の模様はネルソン水嶋君のサイト「べとまる」でどうぞ。
匂わないドリアンマンVS狂気の工作博士マドリア
撮影はとても暑い日で、しかも予定していた公園が工事中で入れず、歩道橋の上でおこなった。
おれは白衣を着ているし、とんでもなく暑かった。
5:00までアーマーを作っていたし。
渋谷を歩くドリアンマン。
ドリアンの特徴であるトゲトゲを全面に配したドリアンアーマーは、身を守りつつもそのトゲで攻撃することができるのだ。
胸と両肩のアーマーはサスペンダーに面ファスナーで固定している。
一般人(手伝いに来てくれたネルソン君の友人)を守るドリアンマン。
ドリアンマンの武器は「ドリアンナックル」。ドリアンのトゲを最大限活かした武器だ。
指の付け根の丸い部分はくるみボタン。
「ドリアンシールド」はまさに攻守一体のシールドだ。衝撃を吸収し、さらにトゲでダメージを与える。
キャプテン・アメリカのシールドのように投げて攻撃することもできる。実際は外れないけど設定上。
「ドリアンベルト」は、ドリアンマンのエネルギー源である「ドリアンシード」の結晶を埋め込んである。
変身ベルトのようなものが欲しかったので布ベルトのバックルに貼り付けて作成。結晶はビー玉。
「ドリアンボム」は必殺の爆弾だ。ドリアンエネルギーの大爆発を起こすぞ。
プラスチック製のたれボトルにトゲを生やした。カラビナでベルトに下げられる。
子供に注視されるドリアンマン。
新しいドリアンアーマーは、素材が工作用紙と軽量の粘土なので、柔軟性があって軽いのも特徴だ。
実は耐久性には少々難があるのだが。
新しいドリアンアーマーで、これからも世界の平和を守ってくれ、ドリアンマン!
戦え、ドリアンマン!
あとは頼んだ、ドリアンマン!
ネルソン水嶋君による本編はこちら!
匂わないドリアンマンVS狂気の工作博士マドリア