2014年01月23日
フルーチェよ、もっと固くなれ!
ある日、友人とフルーチェについて話していた時。
「あれってはっきりしない食感だよな」と彼は言った。
はっきりしないか・・・
でははっきりさせようじゃないか。私の手で。
ということで、あのプルプルのフルーチェをもっと食感のある食べ物にできないだろうか。
まずはじめに、フルーチェ原液と牛乳との割合を変えて試してみた。
通常の作り方は、フルーチェ1パック(約190ml)に牛乳200mlを混ぜる。
ほぼ等倍である。
牛乳とフルーチェの割合を変えてみる
フルーチェ30cc+牛乳30ccを標準(等倍)とし、
フルーチェ10cc+牛乳30cc
フルーチェ20cc+牛乳30cc
フルーチェ30cc+牛乳20cc
フルーチェ30cc+牛乳10cc
と比較してみた。
作り方は全て同じ。
決めた分量のフルーチェに対し、決めた量の牛乳を入れる。
前回イチゴ味をずっと使ってちょっと飽きたので、今回はオレンジ味を使用する。
フルーチェ30cc+牛乳30cc(等倍):この固まり度を10とする。
絶妙のプルプル感。ほんのり甘くほんのり酸っぱいいつものフルーチェだ。
フルーチェ10cc+牛乳30cc:固まり度 2
ほとんど液体のままで固まらないと思ったら、底のほうに少し固まった部分がくっついていた。
フルーチェ20cc+牛乳30cc:固まり度 5
ややとろみがつくぐらい。
フルーチェ30cc+牛乳20cc:固まり度 15
等倍より良く固まった。オレンジ味が強く、フルーツムースっぽい仕上がりになった。
フルーチェ30cc+牛乳10cc:固まり度 7
固まり方はややゆるめのフルーチェといった感じ。
条件にもよるだろうが、牛乳はやや少なめのほうがよく固まるようだ。
さて前回も少し触れたが、フルーチェが固まるのは、フルーチェ原液に含まれるペクチンがカルシウムイオンと結びつくかららしい。
ではカルシウムを増やせばより固まるのではないか。
カルシウムを追加する
フルーチェ30ccと牛乳+カルシウム水溶液計30ccを混ぜる。
用意したのはカルシウムのサプリメント。
この錠剤を少量の水で溶いて牛乳に混ぜれば、カルシウムの多い牛乳になるはず。
まず試しにカルシウムの錠剤を水で溶き、それに少量のフルーチェ原液を加えてみたところ、普通のフルーチェより固くなった。
よし、これならいけるはず。
5ccの水にカルシウムの錠剤を1粒、2粒、3粒溶いたものを用意し、25ccの牛乳と混ぜる。
牛乳100mlあたりのカルシウムを115mgとすると、25ccの中にはカルシウムが28.75mg。このサプリメント1錠にはカルシウムが87.5mg含まれているので、牛乳30cc中含まれるカルシウム約34.5mgよりかなりカルシウムが多くなる。理論上は。
カルシウムを溶かした液が石灰(校庭に白い線をひくやつ)と同じ臭いがする。
あれは炭酸カルシウムだから、成分が近いのだろうか。そんなことを思いながら牛乳と混ぜ、そこにフルーチェを加えてかき混ぜてみる。
(オレンジが切れたのでイチゴを使用)
1錠分追加したもの。
2錠分追加したもの。
3錠分追加したもの。
なんとカルシウムを追加しない、通常のものが一番良く固まった。
カルシウムを追加した量が少ない順によく固まっているようだ。
写真だとわかりにくいかもしれないが、カルシウム錠剤が多いほど、固まり方にムラがあるように見える。
これはカルシウムの錠剤水溶液と牛乳とで固まりやすさ(ペクチンとの結びつきやすさ)が違うため、均質に固まりにくくなるからではないか。
熱を加えるなどして、牛乳とカルシウムがきちんと均等に混ざっていれば結果が違ったかもしれない。
実際、カルシウム錠剤がかなり溶け残っており、入れた錠剤が多いほど粉っぽくて美味しくなかった。
カルシウムを追加してもうまく行かなかったとなると、もうあれに頼るしかない。
固めるといえばあれだ。
ゼラチンだ。
※製菓用のペクチンも市販されているのだが、フルーチェのペクチンとは違い、カルシウムではなく、酸と糖分で固まるタイプ(ジャムを作る時などに使用する)。そのため今回はペクチンではなくゼラチンを使用。
フルーチェゼリーとフルーチェグミ
ということで、牛乳にゼラチンを加えてフルーチェと混ぜ、ゼリーにしてみた。
更には、もっとゼラチンを加えてグミにした。
これでもう、はっきりしない食感なんて言わせない・・・!!
フルーチェゼリー。フルーチェ原液をソース代わりにあしらってみました。
フルーチェグミ。
見た目は美味しそう。早速食べてみると。
ゼリーもグミも、実に薄ぼんやりした味である。
フルーチェは、ほんのりした甘み、ほんのりした酸味が美味いのだが、それはあのプルプルの状態だから生きるようだ。
特にグミは、見た目も相まって香り付きの消しゴムをかじっているようだった。
はっきりと言えば美味しくない。
ということで、やっぱりフルーチェはレシピ通り作るに限る。
無事一周したところで、この話は終わりです。
この記事はSchoo(スクー)のWeb授業「【デイリーポータルZ生企画会議】日常の“おもしろい”を切り取る方法」で、課題として提出したものをベースに作成しました。