2014年01月07日
マフラーしまい髪ってなんだ?「マフラーしまわナイト」レポート
「マフラーしまい髪」をご存知だろうか。
その名の通り、女性がマフラーにしまった髪の毛のことを指す。
その「マフラーしまい髪」を研究しているのが、「マフラーしまい髪研究所」、略して「マフま研」だ。
その「マフま研」が、「マフラーしまい髪」を主題としたイベント、その名も「マフラーしまわナイト」を開催するというので、潜入してきた。
「マフラーしまい髪研究所」とは
マフラーは、冬の定番ファッションアイテムだ。
首周りを暖めるので、防寒具としての実用性はもちろん、冬のファッションにおけるアクセントとしても欠かせない。
冬になると街の中で、通勤・通学電車の中で、日常のありとあらゆるところでマフラーを巻いている女性たちの姿を見ることができる。
そんなマフラーを巻いた女性たちの、マフラーにしまわれている髪、そこに着目し、観察し、分類し、考察している機関が「マフラーしまい髪研究所」である。
マフラーしまい髪研究所のサイトによると、彼らが着目するのは、髪とマフラーが織りなす造形美、そしてそこに現れる、その女性の無防備さだそうだ。
マフラーしまい髪の一番の魅力は、その無防備さにあると言っても過言ではないでしょう。朝、急いで化粧をすませ、マフラーをぐるっと巻いて、走り出す時、偶然生まれる奇跡。そんな女の子の、ごくごく自然な無防備さに、私は心を奪われてなりません。
(マフラーしまい髪研究所のサイトより)
Tumblrのマフラーしまい髪研究所のサイトには、1000人以上のファン(フォローしているユーザー)がいるという。
そんな「マフラーしまい髪」、2013年冬にネット上で話題になり、ついにリアルでのイベント開催に至ったのである。
イベント「マフラーしまわナイト」
2013年12月22日。高円寺のイベントスペース「高円寺pundit’(パンディット)」にて開催された、「マフラーしまわナイト」。
なんだか手作り感たっぷりだけど。
マフラーに髪をしまっていれば入場料500円引き(男女問わず)という、「マフラーしまい割」や、スペシャルメニュー「マフライス」なんていうものも。
マフライス。ライスに卵をマフラーのように巻いたオムライスだ。
登壇するのは「マフラーしまい髪研究所」の所長であるポール氏。
そして対談役として「ルノアールを愛する会」会長の山内氏。
MCは、普段は「企業アカウントの中の人」という今井田さん。
まずは、所長ポール氏から、マフラーしまい髪とは何か、マフラーしまい髪研究所とは何かの解説から。
マフラーしまい髪研究所の発足は2012年。所長であるポール氏のTwitterでの呼びかけに賛同したデザイナー、カメラマン、モデルの4名からなる。
2012年冬にサイトを立ち上げ、13パターンの「マフラーしまい髪」を発表。
2013年冬に、2ちゃんねるで取り上げられたことから、まとめサイト、NAVERまとめなどに広がり、ネットのニュースサイトで取り上げられたことでさらにSNSにて拡散。J-WAVEでのラジオ出演まで果たしたという。
マフラー巻いて髪の毛がこんもり膨らんでる女の子がかわいい季節になりましたーねとらぼ
J-WAVE NEWS:マフラーしまい髪研究所とは
所長ポール氏によると、マフラーしまい髪の最もポピュラーな観測ポイントは通勤電車。「僕らの生活はしまい髮で溢れている」そうだ。
また、マフラーしまい髪には元々潜在的に需要があり、話題になってから「自分も実はいいと思っていた」という反応が多くあった、とのこと。
続いては「マフラーしまい髪研究所」のカメラマンである柴田さんが登壇し、熱い解説。
柴田さんによれば、主役はあくまで「マフラーしまい髪」。モデルさんの「かわいい」写真にならないよう、目線を外し、笑顔は出さないように、髪に当たる日光や背景などにもこだわり、ストーリーを感じられるように、そして、エロさは出さないように、と、様々な苦心をしているそうだ。
そして新作発表&即興タイトル付け。
マフラーしまい髪研究所のサイトを見ると、それぞれの「マフラーしまい髪」に、「花蕾(はなつぼみ)」「ラルクアンシエル」「貞子スタイル」「天使の忘れもの」などといった個性的なタイトルがつけられている。
このキャッチーさが話題になった理由の一端なのだが、これを来場したお客さんにその場で考えてもらおう、というコーナーである。
このイベントの前日に、2013年の「マフラーしまい髪」新作10点を撮影したとのこと。
お客さんの挙手やポール氏の指名により、次々に名付けられる、新作のしまい髪たち。
ポール氏のインスピレーションにより、あんまりピンと来なかった(らしい)ものは即却下されたり、また一発で採用されたりと、会場が沸いた。
そして偏愛つながりということで、「ルノアールを愛する会」の会長、山内氏による、喫茶室ルノアールの協力によるファンブック(電子書籍)「喫茶室ルノアール“本”店」についての解説と、喫茶室ルノアールがいかに凄いかの解説。
ルノアールに対する異常なまでの愛情に溢れたプレゼンテーションだった。
山内氏による、ルノアールで遭遇した嘘のような本当のエピソードに会場が沸く。
(「喫茶室ルノアール“本”店」には、デザイン等の制作で関わっています)
その後は質疑応答。
ストールやスヌードではなくマフラーという言葉にこだわるのは何故?という、若い女性からの質問に対しては「マフラーという言葉が持つ、冬のイメージを大事にしている」とのこと。
またポール氏より、来場した女性たちに対して、「実際にマフラーに髪をしまう動機は?」との質問も。会場の女性たちによると、「風で乱れるから」「静電気で広がるから」「暖かいから」などの答えがあった。
そして演者、お客さん交えての懇親会へ。大いに盛り上がった「マフラーしまわナイト」であった。
マフま研所長インタビュー
イベント後、マフラーしまい髪研究所所長のポール氏を直撃。
マフラーしまい髪について、更に深く突っ込んでみた。
―今年(イベント時2013年末)、急に盛り上がった印象がありましたが、周囲の反応はいかがでした?
ポール氏(以後P):「あれは俺の方が高校生の時から好きだったんだからな!」って怒られることがあります。あと、「よっ 所長!」とからかわれることが増えました。
―先ほど、マフラーしまい髪の魅力のひとつに無防備さがある、と仰っていましたが、スタイルとして狙ってこれをやる、というのはどうなんでしょう?
P:わざとというのは基本的にはNGなんですが、その「狙ってる感」が逆にグッとくるという場合もありますね。
―着目点の似ている「マフモコ」というのがありますが、こちらに対してはどうお考えですか?
P:研究所を開いてから、マフモコの存在を知りました。いつか決着をつけなくてはならない・・・と、思ってます。
―マフラーしまい髪の一つ一つに個性的な名前をつけられていますが、これはどうやって決めているのでしょうか?
P:インスピレーションで決めています。しまい髪に対する想いが伝わればいい、と思っています。
―解説もかなり力を入れているようですね。
P:これも私が全て書きました。通勤電車の中で、iPhoneで書くことが多いですね。
―「マフラーしまい髪研究所」としての今後の目標は?
P:女性ファッション誌とコラボレーションできるといいですね。あとはタモリ倶楽部に出たいです。
―では、世の「マフラーしまい髪」女性たちにメッセージをどうぞ。
P:生まれてきていただいて、ありがとうございます。
ちなみにポール氏は本名ではなく、ポールっぽいから皆に昔からポールと呼ばれているから、だそう。確かにポールっぽい。
マフラーしまい髪。発端は、フェティシズムの一つの形にすぎない。
しかし、極度の愛情が、フェティシズムをコンテンツに昇華させてしまったのだ。
そんなマフラーしまい髪、今後も注目していきたいと思う。