2013年11月25日
「喫茶室ルノアール“本”店」電子書籍のデザインを担当しました
喫茶室ルノアールをご存知だろうか。
東京を中心に、関東圏にある老舗の喫茶店チェーンだ。
ひょんなきっかけで、この喫茶室ルノアールのファンブック、「喫茶室ルノアール“本”店 vol.1」のデザインを担当することになった。
位置づけとしてはファンブックであり、公式ガイド的なものではないが、株式会社銀座ルノアールのご協力の下、著名人たちのルノアール愛が溢れるコンテンツが盛りだくさんの内容だ。
銀座ルノアールの社長へのインタビューの他に「去年ルノアールで」著者のせきしろ氏、ソーシャルゲーム会社gumiの社長國光氏、絵に特化したSNS・Pixvのピクシブ副社長永田氏らのインタビュー、せきしろ氏、ブロガー・ヨシナガ氏らの寄稿文など、ルノアールファンなら見逃せない。
実は、私自身はルノアールファンかというと、特別そうでもなかった。
たまたまこのプロジェクトに編集で参加している友人に、デザインする人を探している、ということで相談を受けたのだ。
それからは意識してルノアールに行くようになった。これはひょっとして、今まで友達としてしか意識してなかったけど、あいつ俺のこと好きみたい、って噂を聞いてから異性として意識するようになった、みたいな感じだろうか。
そんな経験はないが。
デザインはもちろん、外観写真が足りずに撮影しに行ったことも。
新宿にはルノアールがたくさんあることを初めて知った。
デザイン自体はページもののデザインなので、特に問題はなかった。
ただしKindle Paperwhiteは白黒なので、カラーで作る際にコントラストを強めにしないと読めなくなる。
今回、最後の実機確認で大部分を治す羽目になった・・・
そして、Kindle対応の電子書籍ということで、Kindle用のフォーマットにしなければならない。そんなことやったことないぞ。
どうやらKindle用のフォーマットはMobiというファイルらしい。
PDFからMobiへの変換は不具合が多いらしく、今回はまずEPubファイルを作成し、それをMobiに変換してもらう(ここはエンジニアさんにお任せ)した。
固定レイアウト(Fixed)か、可変レイアウト(Reflow)か
電子書籍のレイアウトには、紙の雑誌と同じような固定レイアウト(Fixed)と、テキスト+写真でレイアウトする、可変レイアウト(Reflow)がある。
Fixedは、各ページを画像として扱うため、雑誌のような自由なレイアウトが可能。
写真がメインとなる書籍に向いているが、テキストだけを拡大縮小したり、文中のテキストを検索したりすることができない。
Reflowは、レイアウトの自由度は低いものの、テキストの拡大縮小、検索などができ、可読性が高い。
今回はFixedなので、各ページを画像にすればいいのだが、さてサイズはどうしたらいいのか。
調べてみても情報が意外と見つからない。それだけまだ普及してないということなのだろうが・・・
とりあえずiPadの解像度、768×1,024よりは高くして、しかしRetinaに合わせると最終的に全体のファイルサイズの上限(40MB)を超えてしまうので、1,240×1,754で作成。
SigilでEPubファイル作り
EPubファイルの作成にはSigilというツールを使用。
そのままだと日本語が文字化けするのでこちらのサイトを参考に修正。
Epubファイルは、構造を記述した.opfファイル、目次の.ncxファイル、スタイル設定の.css、各コンテンツの.xmlファイル、それに画像ファイル等が含まれる。
Sigilは、必要なファイルを自動で生成してくれるので、それにレイアウトに応じた設定を追記していく。
それぞれの設定の記述の仕方はこちらのサイトやこちらのサイトなどを参考にさせていただいた。
上記の「電書ちゃんねる」では、固定レイアウトのEPubファイルのサンプルもダウンロードできるので、それを元に改造してもいいかもしれない。
各コンテンツのページは、HTMLの編集とほぼ変わらない。
書きだした画像を読み込むファイルをページ数の分だけ作成すれば良い。
DropBox経由でiBooksへ
こうしてできたEPubファイルはDropBox経由でiPhoneに送り、iBooksで確認。おお、開けた。
横向きにするときちんと見開きに。
(Kindleアプリとは見た目が多少異なります)
これをMobiファイルに変換し、Amazonに登録するのだが、このAmazonとのやりとりもなかなか大変だったそうだ。
そんな紆余曲折を経て、どうにか発売までこぎつけた、喫茶室ルノアール“本”店 vol.1を皆様どうかよろしくお願い致します。
Kindleの実機のほか、iPhoneのKindleアプリでも読めますよ。
という宣伝でした。