2018年05月13日

「民芸スタジアム」をもっと楽しむために

「民芸スタジアム」をもっと楽しむために

2017年に買って良かったもののひとつに、カードゲーム「民芸スタジアム」がある。
「民芸スタジアム」は妄想工作家・乙幡啓子さん原案、おもちゃ・ゲームなどの企画をやっている株式会社ウサギ・高橋晋平さん制作のアナログカードゲーム。
47都道府県それぞれの民芸品が記載されたカードでバトルするというゲームだ。

民芸スタジアム

民芸スタジアム 公式ページ(高橋晋平さんのブログ)
民芸スタジアム 販売ページ(乙幡啓子さんのショップ)

(なお、好きだから書いているだけで広告ではありません)

2017年10月に高円寺パンディットで開催された「民芸スタジアム チャンピオン大会」に、ちょっと興味があったから、という理由でふらっと参加し、当然のごとく未所持未プレイだったため初戦敗退。

チャンピオン大会決勝戦

見ているだけだった決勝戦はかなり白熱した長期戦。面白そう。優勝した方には乙幡啓子さんからダルマの形のトロフィーが。
おれもその場でようやく民芸スタジアムを購入してきたのだった。

同居している恋人とプレイしてみたところ、いたく気に入り、その後度々プレイしている。彼女もおれも、アナログゲームはトランプなど一般的なもの以外はほとんど経験がなく、他に所持しているのは「枯山水」くらい(これもとても面白い)。
そして彼女はどんどん強くなってきていて、今では負けることのほうが多い。
彼女いわく「民芸が可愛いし、時間もさほどかからないし、シンプルだけど戦略が色々あるのが良い」とのことだ。推し民芸は「博多張子の虎」。

博多張子の虎

「民芸スタジアム」の楽しみ方

「民芸スタジアム」の肝は、各都道府県1体ずつの民芸。
それぞれ個性的で、素朴でかわいい民芸たちを「召喚」してバトルする、という設定のゲームだ。
せっかくだからその設定に思いっきり乗っかったほうが楽しめる。

ちょうど、ガチャガチャの「日本まめ郷土玩具蒐集」シリーズに、「民芸スタジアム」に登場する民芸がいくつかあったので入手してみた。
カードと組み合わせれば、実際にカードから民芸を召喚しているように見えるのではないか。
これを使いつつ、ゲームの流れを説明してみよう。

まめ玩具と民芸スタジアム

※「民芸スタジアム」の詳細なルールは公式ページをどうぞ。

民芸カードを各プレイヤーに5枚ずつ配り「手札」とし、残りは中央に置き「山」とする。順番を決めてスタート。

手札

山から1枚カードを引き、サイコロを振って出た目に応じて民芸カードを表向きにして置く。
これを「場に出す」という。カードを場に出すことによって民芸を「召喚」するのだ。

八幡馬召喚

民芸カードには2〜7の数字(「パワー」)とジャンケンの役が記載されており、サイコロの出た目と同じかそれより少ないパワーの民芸カードを場に出すことができる。

サイコロは、手札を1枚捨て札にする(脇に裏返して置いておく)ことで、もう一度振ることができ、1度目に振ったサイコロの目に加えることができる。
パワーが7のカードは通常、1回サイコロを振っただけでは出せないので、1枚を捨て札にしてもう一度サイコロを振ることが必要。つまり「強いが出しにくい」カードである。

木彫りの熊召喚
木彫りの熊のパワーは7。

また、サイコロの目が1の時はカードを出せないので、パスしてターンを終了するか、1枚を捨て札にしてもう一度サイコロを振る。

先に場に出ている民芸カードよりパワーの大きい民芸カードは、パワーが小さいほうのカードの前列に出してペアにすることができ、前列のカードに後列のカードのパワーが加算される。

場に出ている民芸カードの民芸は、条件が合えば他のプレイヤーの場に出ている民芸を攻撃することができる。条件は、ジャンケンの役が勝っていて、パワーが攻撃される側より上か同じであること。
攻撃された側は能力によって回避できる場合を除き、無条件で捨て札に行く。

八幡馬バトル

各民芸には能力が設定されており、カードに記載されたタイミング(場に出た時、攻撃が成功した時、攻撃されて捨て札に行く時……など)で能力を使用できる。

場に出ているカードのパワーの合計が20(ふたりで対戦する場合は25)を超えれば勝利。
山のカードがなくなった場合は場のカードのパワーの合計が高いほうが勝利。

勝利
パワー合計27で勝利。

ルールはシンプルなのだが、各民芸の能力による駆け引きもあり、サイコロの出目やカードの引きによる運の要素もあり、能力のコンボによる一発逆転のチャンスもあり、戦略が決まった時の爽快感もある、盛りだくさんのゲームである。

おすすめの民芸

「民芸スタジアム」の必勝法は、各民芸の能力を把握し、戦略を組み立てること。
それでもサイコロの出目やカードの引きが悪ければあっさり負けてしまうこともあるのだが、民芸の能力を把握していれば逆転の手を思いつくかもしれない。
そこで、おすすめの民芸とその能力を挙げてみる。

「三すくみ」
単体で防御力99のなので、民芸による通常の攻撃は通用せず、能力でしか取り除けない。パワーも5とそれなりに高いのでどんな場面においても使い勝手がよい。

三すくみ

「べろ長」
3以下のパワーの民芸を後列に一緒に出すことができる能力をもつ「べろ長」。自身のパワー5と、単体でもそこそこ強い上、一緒に出す民芸カードによっては同時に能力を行使できるという利点がある。ペア後列にいると前列の防御力が99になる「イタヤ狐」を後列に出せば攻撃力7、防御力99と、攻撃に対してほぼ無敵になるほか、カードを2枚捨て札に送ることで手札からもう1枚カードを場に出せる「姫だるま」や、場のカードを1枚手札に戻して手札から好きなカードを出せる「黄鮒」を出し、さらにカードを追加で出せる「米食いねずみ」などを出せば1発逆転の可能性も。
おれの推し民芸はこの「べろ長」だ。

べろ長

「奉公さん」
攻撃が成功すると相手の手札を見て1枚カードを奪うことができる能力。相手の手札を見られるので手の内を予測することができる。また公式のQ&Aによれば、手札を見て奪うのは攻撃した相手ではなくてもいいとのこと。地味にいやらしい能力だ。

「博多張子の虎」
攻撃が成功すると攻撃された側の手札を2枚を捨て札にさせる。パワーも6と高めで、ペアの前衛として出されると更にやっかい。気づいたら手札がないということになりかねないので、相手に出されたら早めに排除したい。

「因幡の白兎」
自らを犠牲に全ての民芸に勝てる能力を持つ。また攻撃されても攻撃した民芸を捨て札に送ることができる。場に出ていると攻撃しにくく強い民芸も出しにくくなるので相手へのプレッシャーになる。かわいいのに。

因幡の白兎発動

「ミルク神」
自分の手札と相手の手札を交換する能力を持つ「ミルク神」。積極的にサイコロを2回振って手札を減らすだけでなく、手札を2枚捨て札にすると攻撃を無効にする「笊かぶり犬」や、手札を捨て札にした枚数が攻撃力にプラスされる「土佐犬一刀彫り」などを活用して手札を減らし、場に強いカードを並べた上で「ミルク神」を出すと相手を絶望的な状況に追い込める。逆に相手にそういった素振りが見えたら「ミルク神」に対する警戒が必要だ。
相手が「ミルク神」を持っているかな? と思ったら「奉公さん」の能力で奪ってしまうといいかも。

「阿波踊り竹人形」
捨て札と手札を交換する能力を持つ。これも使い所は難しいが、「はと車」「鳴子こけし」など、捨て札を増やす能力をもつ民芸と組み合わせて捨て札を増やした上で使用して手札を充実させたり、手札がない状況から一気に状況を好転させることも可能。

この他にも個性的な能力を持つ民芸がたくさんあるので、手札とそれぞれの能力を考慮して戦略を考えていくのが楽しいのだ。
「この民芸の能力、使いにくなー」と思っていた民芸をうまく使いこなせた時は、なんともいえない爽快感がある。

体験イベントに参加

2018年3月3日、TSUTAYA三軒茶屋店で開催された「民芸スタジアム」体験イベントに参加してきた。
試遊会ということで基本的には初心者向けなのだが、TSUTAYA三軒茶屋店限定の民芸カードがどうしても欲しかったからだ。

体験会

試遊あり、原案乙幡啓子さんとゲームデザイン高橋晋平さんの対談あり。
もちろん新たに民芸スタジアムパッケージを購入し、「招福猫児(まねぎねこ)」カードを入手。
パッケージは3セット目だが、1セット目がへたってきたし、今後旅行などにも持っていきたいのでちょうどよい。

まねき猫

能力としては「場に出ていると、サイコロで1が出た時に山札からカードを1枚引ける」というもの。
サイコロで1が出ると手札を1枚捨て札にしてもう1枚引くか、パスかになるので、場に出しておけば保険になってくれそうだ。

ふるさと納税の返礼品にも

民芸スタジアムは、秋田県北秋田市へのふるさと納税の返礼品にもなっている。
カードゲーム「民芸スタジアム」 北秋田市限定版 ふるさとチョイス
限定民芸カード「綴子大太鼓」つき。
このカード、強そうなので是非ほしいのだが、すでに3セット所持しているので迷っているところだ。

楽しくて可愛くて深い「民芸スタジアム」

「民芸スタジアム」のおかげで民芸(郷土玩具)への興味が湧いてきて、気になった民芸について調べてみたりしているし、「これ実家にあった」「祖父母の家にあった」などの懐かしさもある。
旅行に行っても、ここの民芸は何だったか……と考えてしまう。
もちろんゲームとしても面白い。

たとえば「プレイヤーの出身県の民芸は攻撃力+2」とか、「(旅行先で)今いる県の民芸はポイント+1」とか、禁じ手を設ける縛りプレイとか、追加ルールを独自に考えてみても楽しそうだ。
まだまだ奥が深い「民芸スタジアム」、もっと楽しんでいきたい。

乙幡さんと対決

試遊では原案の乙幡啓子さんと対戦し、圧勝しちゃいました。