2016年09月08日
上野大仏を知っていますか
大仏といえば、どこのものを思い浮かべるだろうか。
奈良の東大寺にある大仏だろうか。鎌倉の大仏だろうか。
牛久大仏の巨大な姿を思い浮かべる人もいるかもしれない。
東京都内にもいくつか大仏があるが、台東区の上野公園内に大仏があるのはご存知だろうか。
この大仏が、少し変わっているのだ。
動物園や博物館、近頃では、ポケモンGOでポケモンがたくさん出る場所としておなじみの上野公園。
一時期は不忍池の周りがポケモントレーナーたちでごった返していた。
大仏があるのは、上野公園の京成上野駅側の入り口から北の方角。噴水広場へ向かう道の途中、南側から見て左手の、木が鬱蒼と生えた小高い丘の上。
おれは10年くらい前から、この上野大仏がなんとなく好きで、上野公園に行くたびにお参りをしていた。
記憶が正しければ、数年前までは上野大仏への案内は特になく、知る人ぞ知る、といったスポットだったが、最近は合格祈願の大仏として知られているそうだ。
JRの広告にもなったので、駅などで見たことがある人もいるかもしれない。
上野大仏の良さ
上野大仏が、他の大仏と何が違うかというと、顔だけしかないことだ。
巨大な顔だけが鎮座しているのである。
通常の大仏であれば、顔は高い位置にあり、そうそうじっくりと眺める機会はないだろう。
上野大仏は、顔だけしかないので、巨大な顔(高さ1.5mくらい?)を近くからじっくりと眺められる。
おれは仏教徒というわけではないので、面白半分で申し訳ないが、銅で出来た、なんとなく人間というより巨大ロボットのようなその顔は、ずっと眺めてしまう不思議な魅力があるのだ。
なぜ顔しかないのかざっくりといえば、関東大震災で落下してしまい、修復されないまま胴体の方は戦争時に資材として徴収されてしまったそうだ。
顔が一度落ちていて、これ以上落ちない、ということで、合格祈願の対象とされているらしい。
一度落ちている事実はいいのか、という気もするが。
昔はほぼ放置されていて、いつでも見られたが、現在は16:00で入れなくなってしまう。
合格祈願の絵馬が飾られていたり、合格祈願のお守りが買えたりする。
ということで、特に受験生ではないが、一つ買ってみた。
大仏の顔の形のお守りである。
なかなかインパクトがあって良い。
なんとなく好きなので作った
そんな上野大仏がなんとなく好きなので、上野大仏をモチーフにしたグッズを作った。
それがこの「上野大仏クカバー」である。
だいぶっくかばー。
観音開きの文庫用ブックカバーだ。
紐を解き、上野大仏の顔を割って本を開く。
バチ当たりな気もするが、仏様は寛容だから大丈夫だろう多分。
厚紙で作ったブックカバーに、粘土で作った大仏の顔を貼り付けて塗装している。
大仏の顔はなかなか難しく、ちょっとの違いで表情が変わってしまう。
あれこれいじっているうちに、なんだか厳かな気持ちになった。
上野がテーマの工作を
おれはアマチュア落語家としても活動しているのだが、とある会で落語を披露させていただくことになり、そのマクラ(落語本題に入る前の前フリを兼ねたしゃべり)で工作を披露する、と主催者にうっかり約束してしまったことがそもそもの始まりだった。
演目は「崇徳院」にした。恋わずらいにかかった若旦那のために幼なじみの芸人が相手の女性を探す、という話だ。
演目を先に決めてしまったものの、さて工作はどうしようか。
何も思いつかず、ちょっとでもかすってればいいか、ということにした。
演目中で、恋わずらいのきっかけとなった相手と出会うのが、上野なのである。
上野をテーマに何か作ろう。そうしよう。
ということで、昔から気になっていた上野大仏をモチーフに工作をすることにした。
発表当日ぎりぎりまで制作し、やっとのことで完成したのが「上野大仏クカバー」であった。
幸いにして、落語自体もこの「上野大仏クカバー」もお客さんの反応はとても良く、どちらもやった甲斐があった。
これも大仏様のご利益ということにしよう。そうしよう。