2012年11月01日
見えない粒子が病気を治す 最先端放射線医療研究の現場にて
10/21に、友人宅の近所にある放射線医学総合研究所の年に一回の一般公開があったので、ふらりと行ってみた。
放射線医学総合研究所
独立行政法人放射線医学総合研究所は、千葉県稲毛区にある、国内唯一の放射線と医療に関する研究機関。
普段は、事前に見学の申し込みをしないと入れないのだが、年に一度、地元稲毛区のまつりに合わせて、一般に開放している。
放医研は、放射線を使用した治療および、放射線による健康被害の治療を主に研究している。
そうした、少々わかりにくい分野の研究を親しみやすくオープンに、というのが一般公開の目的であるようだ。
放射能汚染のチェック体験ができたり(当然検出されませんでしたよ)、
(少々シュールな)放射性物質の取り扱いに関するクイズがあったり、
緊急被ばく医療支援チームの解説が展示してあったり、実態として理解し難い「放射線」というものを、わかりやすく見せてくれる。
重粒子線がん治療装置HIMAC
これは、重粒子線がん治療装置HIMACの一部。
実際にはちょっとした体育館くらいのスペースを、こんな機械がぐるっと一周している。
これは何かというと、重粒子線という放射線でがんを治療する装置の一部。
放射線を細胞に照射して、細胞の活動を停止させる装置だ。
その放射線を体の中に届かせるため、電磁誘導で加速させてエネルギーを与える。
そのために、体育館くらいのスペースで、イオンを何周もさせ、光の早さの80%まで加速させる必要があるそうだ。
私の後ろにあるのが線形加速器。発生させた多可イオンを、まず光速の11%まで加速させる装置だ。
ある程度加速したイオンは、上の写真のシンクロトロンと呼ばれる円形の加速器を何回も(100万回も!)回転することで、光速の80%まで加速する。
そして充分にエネルギーを与えられたイオンを、CTスキャンのような装置に固定された患者のがんの患部に照射することで、胎内の他の器官を傷つけることなく、患部だけを破壊することができるそうだ。
ちなみにイオンが加速し始めてから100万回転して患部に届くまで約1秒しかかからないとか。
実は、ちょっと覗くか、くらいの軽い気持ちで行ったのだが、めったに体験できない最先端の研究の一端を体験できて大満足の一日でした。