2015年09月18日

夏の思い出フジロック

夏の思い出フジロック

今年も夏が終わってしまった。
満喫できた人にも、消化不良だった人にも、どちらにも平等に夏の終わりはやってきた。
みなさんにはどんな思い出があるだろうか。
おれのいちばんの思い出は、フジロックだ。

富士山に登ることになった

今年の夏、富士山に登った。
友人に誘われたので、一生に一度くらいは登っておいてもいいかも、という軽い気持ちでOKしたのだ。富士山といえば一富士二鷹三茄子というくらいの縁起物だ。世界遺産にもなったし。よっしゃ、記念にいっちょ登っておくか、くらいの軽さだ。

富士山をなめてかかっていたのだ。

夜の富士登山

当日は夕方、バスにて富士山五合目へ。
食堂で富士山ラーメンを食べたりそのへんを歩いたり、2時間ほど高所に体を慣らし、登山開始。
7〜8時間かけて山頂まで登り、朝日を見る計画であった。

富士山ラーメン
富士山ラーメン。普通のラーメンだけど。

一緒に行った友人は、たまに登山をしており、富士山も2度目。
おれは登山自体がほぼ初めて。ド初心者である。道具だけはちゃんとしたものを揃えたので数万円かかった。

登山道具一式
今回持って行った登山道具一式(結局使わなかったものも)。

実は富士山の前に、練習として他の山に登る予定だったのだが、スケジュールや天候の都合がつかず、結局ぶっつけ本番で富士山に臨むことになった。

老人や子供も登っていることだし、大丈夫でしょ。
軽く考えていた。

五合目出発前
五合目出発前に撮った小御嶽神社の鳥居。この時はウキウキしていた。

五合目から登山道に入り、2時間ほどで7合目(約2,700m)に到着。
満天の星空や、遥か遠くで光る雷を見つつ、楽しむ余裕がまだあった。
ただ、休み休みで友人よりどうしてもペースが遅くなってしまうので、友人には先に行ってもらった。

8合目前で死を意識

7合目から8合目(約3,100m)に向かう途中で、急激に体調が悪化。
猛烈な吐き気に襲われる。目眩もする。
いわゆる高山病(高度障害)にかかってしまったようだ。

登山道にしゃがみ込み、呼吸を整える。
でも数メートル歩くと、また襲ってくる吐き気と呼吸困難。
全身から力が抜けて、歩けなくなってしまう。

倒れこむように登山道にしゃがみ込む。
他にもたくさんの登山者がいるのだが、登山道で休憩を取る人もたくさんいるので、おれに気を止める人はいない。

長いことしゃがみこんでいると、次第に通る人もまばらになる。
人がいなくなれば当然、あたりは真っ暗。自分のヘッドライトの明かりのみ。孤独感と不安感が容赦なく襲ってくる。

このまま動けなかったら、死んでしまうかもしれない。
インターネットには繋がるけど。
(富士山の登山道はほぼ携帯電話の電波が受信できる)

どうにかよろよろと歩き出しても、数メートルで体がいうことを聞かなくなる。手足に全く力が入らないのだ。
疲れて体が動かない感覚とはまた違う。
ドラクエで例えれば、ステータス「どく」でさらに「のろい」で最大HPが1/10になった感じだ。もちろん「どくけしそう」もないし「シャナク」も使えない。

しゃがみこんで呼吸を整え、また数メートル登り、またしゃがみ込む。
こんな所でひとりで死んでたまるか。
堀北真希も結婚したというのに!
(ちょうど登っている最中にニュースになっていた)

大げさに思うかもしれないが、この時は本当にそう思っていた。

出発前に撮った富士山
登山中の写真はないので出発前に富士山駅で撮った富士山を。

なんとか8合目へ

少しずつ登って、なんとか8合目の山小屋のあるエリアに到着。
一息ついて、ようやく少し冷静になる。
体温が下がりすぎて、内臓が悲鳴を上げているのがわかった。

富士山の登山道は、夜はかなり冷える。
また登っていると汗をかくため、汗が冷えて急激に体温が下がってしまうようだ。
とにかくジャージからダウンジャケットまで、持っている全ての衣類を着て、お腹にカイロを貼り、体を温めることに注力。しばらくじっとしていたところ、どうにか吐き気はおさまった。

登頂はとても無理だと判断し、8合目で朝日を迎えた。
いわゆるご来光だが、ご来光を見た感動よりも「生きて太陽をまた拝めた」という気持ちのほうが強かった。
「これで生きて帰れるぞ」という気持ちだ(太陽が出ると急激に気温が上がる)。

ご来光

下山道で山頂から降りてきた友人と合流し、どうにか無事下山できた。
目下に広がる雲海や、朝日に照らされて黄金に染まっていく山肌、斜面を登ってくる雲など、ここでしか見られないであろう景色を見られたことは、とても素晴らしい経験だったものの、もう一生富士山には登らないだろう。

おれの体には過酷すぎた。

富士登山の思い出を形に残す

そんな富士登山の思い出を形にしてみた。

フジロック

富士錠(フジロック)である。
朝日に照らされて金色に輝く富士山をイメージした、富士山型の南京錠だ。

フジロック表
表面。

フジロック裏
裏面(解錠時)。

市販の南京錠をベースに石塑粘土を盛り、塗装した。
格子状の部分は靴のすべり止めで型をつけてある。
後ろの「富士錠」の文字は、ゴムに文字を彫って粘土に押しつけた。

フジロック制作中
制作中。プラスチックの板で縁や雲などの形を作り、それに合わせて粘土を削っていく。
塗装はアクリル絵の具でアンティーク調に。

新しい富士山のお土産としてこの「富士錠(フジロック)」を提案したい。

フジロック使用例

もちろん南京錠として実用もできる。
旅行の時などにバッグにつければお洒落でセキュリティもばっちりだ。

動画でも見ていただこう。
フジロック動画(BGMあり)

なお、いわゆるフジロック、フジロックフェスティバルには行ったことがないのでどんなものかは知らない。
おれとはおよそ関わりのなさそうな世界だ。今後知ることもないだろう。

富士神社登頂

近所の富士塚(駒込の富士神社)を登頂したので富士登山はこれで良しとする。

ヴィレッジヴァンガード主催の「雑貨大賞」一次審査通過しました!

雑貨大賞
賞は取れませんでしたが、師匠だと勝手に思っている乙幡啓子さんがあそび部門と大賞をダブル受賞されたので嬉しいです。
富士錠(フジロック)に投票いただいた皆様、どうもありがとうございました。また次回挑戦いたします。