2015年05月06日

徳之島予定外紀行

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  • by 松本ジュンイチロー
徳之島予定外紀行

南の島を原付で回りたい。だいぶ前からそう思っていた。
徒歩では回れる範囲に限界があるし、車の運転は下手だ。ゴールド免許だけど、運転していないからだ。
小回りの効く原付なら、どこへでも行けるんじゃないか。
と思ってやってみたら、色々と予定外のことが起こってしまった。

原付に乗るのがそもそも初めて

原付いいな、と思っていたが、そもそも乗ったことがない。
普通自動車運転免許証があれば乗ってもよい、というのは知っているが、旅行先でいきなり乗るのは怖い。ということで調べてみたら、一部の教習所で、原付の初心者教習をやっているところがあるらしい。
世田谷自動車学校で1000円払い、初めて原付に乗ってきた。
これで準備はばっちりだ。

芦花公園
写真は自動車学校近くの芦花公園。ちょうど桜の時期だった。

バニラエアで奄美大島へ

私の場合、ひとり旅はだいたい衝動的に決める。
奄美大島行きも、バニラエアがたまたまセールをやっていたから決めた。
往復10,000円ちょっとで奄美大島。安いじゃないか。
鹿児島県の離島、奄美大島は去年も行ったが、気候がよく、海がきれいなので何をするわけでなくても楽しい。

今回は奄美大島からフェリーで離島、徳之島へ向かうことにした。これも衝動的に決めた。一番面白いサイト、デイリーポータルZの企画で、石垣島でイベントをやっており、それに行きたかったけど行けなかったので、どうしても離島に行きたい気持ちを抑えられなかったからだ。

オープンしたばかり(2015年4月8日オープン)の成田空港第3ターミナルから、奄美大島へ向かう便に乗る。
第3ターミナル、第1第2からは少し離れた所にある。
陸上競技のトラックのような床だったり、フードコートがあったりとお洒落ではあるが、天井は配管むき出しで、いかにもLCC向けターミナルといった感じが楽しい。

第3ターミナルフードコート

平日だけどフードコートでビールなどいただき、出発。
奄美大島へは3時間と少し。離陸が遅れたがイライラしない。最近ナショナルジオグラフィックチャンネルの「メーデー」(飛行機事故のドキュメンタリー)にはまってそればかり見ていて、ちょっとした整備ミスや確認漏れで飛行機が落ちて何十人かが犠牲になるのがばっちり印象に残っているからだ。気になることがあったらどんどん遅らせてほしい。墜落するよりずっといい。
眠かったから寝てたし。

早朝のフェリーで徳之島へ

奄美大島へ着いたのが夕方。ホテルにチェックインして飲みに行ってその日は終了。

早朝フェリー

翌朝、名瀬港を出るフェリーで徳之島へ向かう。奄美から徳之島へ行くフェリーは2日に1本のみ、朝5:50発。寝坊しないかドキドキしたが、無事起きられた。まだ夜はあけていない。クイーンコーラルプラスという巨大なフェリーに乗る。

2等室

2等席3,300円。ビニールのマットと枕と毛布つき。鹿児島から沖縄まで運航するフェリーなので船中泊前提なのだ。
うとうとしていたら3時間半ほどで徳之島の亀徳港へ。

徳之島

予定外1:雨

この旅行のタイミングで、全国的に雨が続いた。
徳之島に到着しても、雨。
原付で回ろうと張り切って、教習まで行ったのに、雨。

ホテルに荷物を置き、近くで原付を借りた。
亀徳港の近くで原付を借りられるのは、港の眼の前にあるトヨタレンタリースのお店と植田モータースというバイク屋さん。

原付

借りた原付にまたがり、恐る恐る出発。雨は強くなるばかり。

友人のお母さんが徳之島の南の方、喜念という地域でカフェをやっているので、とりあえずそこへ向かう。途中で海に立ち寄って写真を撮ったりも。こういうことがしたかった。

徳之島の海

だけど、雨。気温も、この時期にしては低い。
ようやくお店に着くと、ありがたいことに友人のお母さんは、東京からびしょ濡れでやってきた男をとても歓迎してくれた。コーヒーを出してくれたり、傘を貸してくれたり。

友人のお母さんの経営するカフェ「喜念日和(鹿児島県徳之島伊仙町喜念501)」は、住居を改装したカフェ。美味しいランチやコーヒー、ケーキがいただける素敵なお店なので、徳之島を巡る際は是非。

喜念日和

お店の近くにある海岸、喜念浜海浜公園を散歩。相変わらず雨。
喜念浜はとても綺麗な海だった。遠浅で、波が沖の岩礁で遮られるらしく、ほとんど波がない。
お陰でうまいことたい焼きを泳がせることもできた。

喜念浜

砂浜にはでかい足あと。明らかに犬なんかではない四つ足の動物。大きさから推察するにトリケラトプスかな、とも思ったが違う。徳之島は闘牛が盛んで、闘牛用の牛を散歩させるらしい。トリケラトプスでもほぼ正解だな。

謎の足あと

予定外2:友人のお母さんに晩御飯をごちそうになる

ずっと雨なのでもう心が折れてしまい、原付はもう返そう、と思っていたところ、友人のお母さんがお店が終わった後、車で観光スポットへ連れて行ってくれるという。さすがに恐縮したが、かといって特に予定もないのでご好意に甘えることに。

大和慰霊碑

戦艦大和の慰霊碑がある犬田布岬や、古い石垣のある阿権に連れて行ってもらった後、夕食にまで招待してくれた。ゴーヤーチャンプルや豚のスペアリブの煮物をいただき、息子さん(友人本人)の愚痴を聞くという楽しい夜となった。航空券安くなったし帰ってやれよ。

2日目、今度こそ原付で回る

翌朝、どんより曇ってはいるものの、雨は止んだので再び原付を借りる。
昨日は南へ行ったので今日は北へ向かってみることに。
特に目的もなく海沿いを走り、気になるところがあったら原付を止めて寄ってみる。海までの道を間違えて地元の人にこっちじゃないよ、と言われたり、ぬかるみに突っ込んだりした。

徳之島の海

徳之島の海は、自然のままの美しい海だ。
○○海浜公園、などの名前がついていても、駐車場やトイレがあるだけで、海はほとんど未整備のまま、という印象。
砂浜より、波で削られ、クレーター上に穴が開いた、多孔質の尖った岩が多数ある磯が多いようだ。
奇岩が並ぶ海岸の風景は見応えがあるが、裸足で歩いたら怪我をしそう。足元も悪いので転ばないように注意が必要だ。

徳之島の磯

潮だまりには、小さな魚が泳いでいる。
潮だまりに取り残されたハリセンボンを見つけた。私に気づくと慌てて岩の陰に隠れてしまったが。

ハリセンボン

海沿いを原付で走らせていると「イノヌイビガナシ・ウキボウジガナシ」という表示が。
なんだかわからないが立ち寄ってみる。

どうやら徳之島には、石に乗って神様がやってきたという伝説があり、その神様がご神体として祀られている神社らしい。
神社の中にイノヌイビガナシ、背後の洞窟にウキボウジガナシが祀られている。洞窟の前に経つと、大きな岩の圧力か、はたまた霊的なものか、何か背中にぞわっと来るものを感じた。

イノヌイビガナシ

予定外3:山で道に迷う

しばらく原付を走らせていると、横綱・朝潮の像があるとのこと。
朝潮は、1950年代、若乃花(今の花田兄弟のおじさんに当たる横綱)と同じ時代に活躍した横綱。徳之島の出身だという。
正直相撲にはさほど興味がないのだが、トイレに行きたかったので立ち寄ってみる(朝潮さんすみません)。小高い丘の上に朝潮太郎の銅像が立っており、思惑通りにトイレもあった。

朝潮

近くに西郷隆盛が滞在した家があるという表示があったので向かってみる。表示の方に向かっていたはずが、気づくと山の中にいた。
いや、気づいてはいた。無いなーって。上り坂だなーって。湿度が高くなってきたなーって。気温が下がってきたなーって。

山の中

どっかで降りる道があるだろう、と思っていたら、山の上。
熱帯雨林みたいな道を原付で行く。ところどころ舗装されてなかったり、携帯の電波が入らない場所があったり、葉っぱが人間の胴体ぐらいある巨大な植物に怯えたり、30センチくらいあるミミズを轢いてしまったりしているうちに、ダムに着いていた。

ダム

神嶺ダムは徳之島の山の上の方にある。あまりダムには詳しくないのだが、ロックフィルダムというタイプだと思う。
筐体の近くには行けないし、あまり派手でもないのでわざわざ見に行くものでもない気がするが。慣れない原付で道に迷ったので、休憩がてら。
ただし周りには何もない。使われてるか微妙なトイレがあった。

とにかく一度山を下りることにする。
港の方へ出たので、お昼に海鮮丼をいただいた。
九州のあの、甘い醤油が大好き。具も大きく、新鮮でとても美味しかった。

海鮮丼

再び北へ向かい、海を見ていたら夕方。再び雨が降ってきた。
原付を返却して、17:00のフェリーに乗り、徳之島から再び奄美大島へ。
1日半の徳之島旅行はこれにて終了。

さよなら徳之島

また行きたい徳之島

予定外のことが続いた(主に雨)徳之島滞在だったが、徳之島はとても魅力的な島だった。
海は綺麗だし、食べ物は美味しいし、友人のお母さんだけど親切にしてもらったし。

迷ったり行ったり来たりしたが、徳之島の東側半周分くらいは移動したと思う。原付の機動力も分かったので、また次の機会にじっくり回ってみたい。
願わくば、もう少し交通の便が良くなってほしいものだ。1日1本、行きか帰りかのフェリーだけでは(飛行機もあるけどちょっと高くつくので)気軽に行くのは難しい。今後に期待したい。

徳洲会

元東京都知事の猪瀬直樹氏の資金提供問題で話題になった徳洲会の創設者は徳之島出身らしいですよ。