2014年04月09日

塩辛い大福の衝撃! 〜埼玉名物を探す旅 #1〜

塩辛い大福の衝撃! 〜埼玉名物を探す旅 #1〜

私が育った埼玉県の北部にある久喜市には、塩辛い大福がある。
出身地の名物でありながら、今まで食べたことがなかった。
実際に食べてみたところ、衝撃的だったので報告したい。

埼玉県には、特に名物がないと言われがちだ。
決して無いわけではないのだが、これぞ、というものがないのも確か。
だから、探してみようじゃないか。
自信を持ってお勧めできる、埼玉名物というものを。

まずは、自身の育った久喜市から探してみることにした。
(厳密には近年合併した、隣の町で育ったのだが)

久喜駅

久喜駅は上野からJR宇都宮線で50分ほど。埼玉県の北東部にある。
久喜市の名物のひとつが、デイリーポータルZにも掲載されていた「塩あんびん」。
なんと、塩辛い大福だという。

購入できるのは、駅から徒歩5分ほどのところにある和菓子屋「愛宕茶屋」。

愛宕茶屋
愛宕茶屋(久喜市久喜中央1-15-23)
老舗の和菓子屋さんだ。
美味しそうな普通の和菓子に並んで置いてある「塩あんびん」。
1個231円(2014年3月現在)。1個から購入可能。

店頭

早速買って、目の前にある神社(愛宕神社)のベンチで食べてみる。

塩あんびん
(右が「塩あんびん」)

食べる

・・・

少々混乱したので整理しよう。

・うっすらと塩辛い皮。
・皮は程よい弾力がある。
・餡が塩辛い。

・餡がかなり塩辛い。
・餡が超塩辛い!

とにかく塩辛い餡だ。
それはもう遠慮のない塩辛さ。
強烈な塩気と、小豆の風味が相まって、ちょうど海水を飲んでしまった時のようだ。
先のデイリーポータルZの記事で「海の中でおぼれながら大福食べているような感じ」とあったが、まさにその通り。
大福を食べて海を感じることになろうとは。

砂糖を一切使っていないため、餡のねっとり感はなく、やや粉っぽさがある。
正直な感想を言うと、このままひとつ食べるのはかなりきつい。

店員さんによると「砂糖を付けて食べる方が多いです」とのこと。
それは存在意義を揺るがす発言の気がするが、家に帰って試してみた。

確かに少しの砂糖で甘じょっぱくなり、格段に美味しくなる。
だが、何か釈然としない。
そもそも砂糖不使用が売りのはずなのに、そこに砂糖を加えてしまっていいのか。

一緒に買ったのが「甘口あんびん」。「あんびん」は「塩餅」と書く。
甘口、と謳っているということは、塩あんびんの甘口版ということだ。
つまりあくまで基準は塩あんびん。

塩あんびん
(左側、印のないほうが「甘口あんびん」)

こちらはとても美味しかった。
皮はほんのり甘く、柔らかいながら適度に弾力のある歯ごたえ。
餡は甘さ控えめで、小豆の風味がよく感じられる。
上品な大福である。

そもそも塩あんびんは、砂糖が貴重だった時代に、代わりに塩を作って作られたのが始まりらしい。砂糖が無いから塩。かなり役割が違うような気がするが。
素晴らしいのはそれが現代まで生き残っていること。
海底で静かに生き残っていたシーラカンスのように、埼玉の片隅で生き残ってきたのだ。
「塩あんびん」、歴史を感じる埼玉名物である。

ちなみに実際は、お菓子として食べるより、軽食として、焼いて砂糖醤油などをつけて食べる食べ方が一般的だそうだ。

説明

実家に持って帰って家族に食べてもらったら全員無言になりました。