2015年04月12日

今こそ泳げ!たい焼き君

今こそ泳げ!たい焼き君

先日、一番面白いサイト「デイリーポータルZ」でこんな記事を読んだ。
たいやきを泳がせたい
発想も面白いし、記事自体もとても面白いのだが、記事にある通り、筆者の方はたい焼きに対してあまり思い入れがないようだ。
一方、たい焼きにとても思い入れがある男がいた。私だ。

たい焼きと私

たい焼き器

半年くらい前にたい焼き器を買った。ホットプレートタイプではなく、直火にかける、二つ折りの鉄板タイプ。ずっと欲しかったからだ。
以来、普段使いに、友人を招いてのたい焼きパーティーに、活躍している。
たい焼きのレシピも工夫を重ね、友人からは「市販のものより美味しい」とも言われるようになった。失業したら外国に行ってたい焼き屋をやろう。

たい焼きの生地は、ホットケーキミックスをベースに作る。
通常のホットケーキのレシピである、卵、牛乳、ホットケーキミックスに、上新粉(お米の粉)、はちみつ、塩を加え、水で調整し、適度な甘さと口当たりになるようにした。

生地を流す

あんこは市販のものに、塩を少々加え、少量のお湯で伸ばしてある。甘さと粘度の調整のためだ。
特に焼き時間などは測っていない。たい焼きの声を聞いて判断する。
適度なタイミングで返し、固まってきたら開いてみながら焼き具合を調整する。こんがりいい色になったら完成だ。

焼けたたい焼き

本当にたい焼きの夢を叶えるべきなのは私なのではないか。
自身がたい焼きであるという事実の前に敗れ去ったたい焼きたちの、あの自由への渇望を、いまこそ満たしてやろう。
(若い世代には意味がわからないんだろうな…分からない人は「およげたいやきくん」で検索してください)

たい焼きよ、今こそお前を、海へと解き放つ。

どうやってたい焼きを泳がせるか

たい焼きを泳がせる。ここは、先に挙げたデイリーポータルZの記事とは違うアプローチをしたい。

スイーツデコという造形のジャンルがある。樹脂粘土などを使い、スイーツのミニチュアを作ってアクセサリーなどにするというものだ。以前タミヤのショップに行った際に、ワンコーナーが設けられており、造形の1ジャンルとして確立されていることを知った。

このスイーツデコのメソッドを用いて、たい焼き器を使って実物大の、耐水性のあるたい焼きのモデルを作り、水中モーターを装着する、という方法でたい焼きを泳がせてみることにする。

たい焼きのモデルを作る

樹脂粘土

東急ハンズで購入した、黄土色の樹脂粘土。とても軽い。感触は練り消しに少し似ている。練り消しほど伸びないが。これをよく練って、たい焼き器に詰め込む。

発泡スチロール球

あんこの代わりに浮力をつけるための発泡スチロール球を埋め込み(後に不要だったとわかる)、さらに樹脂粘土で覆って、型を閉じ、よく押し付ける。

開いてみるとたい焼きの形に。一度やってみて型にくっついてしまい、やり直した。型から外れやすいようにするにはハンドクリームを型に塗るとよい、という情報を見つけたので試すと効果てきめん。インターネット凄い。

たい焼きの形の粘土

たい焼きの形になったら半日ほど乾かすと安定するので型から外す。
水中モーターの吸盤がくっつくように透明プラ版で作った台座と、コントロールを失わないために糸がつけられるようにしたストラップホルダー(これも不要だった)を接着して、数日間乾かす。

たい焼きモデル

質感をつけるために茶色のスプレーとクリアスプレーで仕上げ。
完成したたい焼きのモデルは、言わばたい焼きのサイボーグだ。タイボーグだ。何かあった時の予備に、ふたつ作った。
同じたい焼器から生まれた実物のたい焼きと並べてみる。
なんとなく自分をモデルにしたサイボーグを作った博士みたいだ。

タイボーグとたい焼き
博士「わしはもう駄目じゃ。よく聞け、お前たち」サイボーグ兄弟「博士!」みたいな。

たい焼き食べる
博士「グワー!!」
博士はおやつとして美味しくいただきました。

水中モーターと重さの調整

水中モーターは、タミヤの自分で組み立てるミニ水中モーター。
組み立てたらたい焼きモデルの台座に装着。さあ、これで君は泳げるはずだ。

たい焼き君初期型

バケツに水を張ってテストしてみると、傾く。
軽量の樹脂粘土を使用したためか、浮力が強すぎる。発泡スチロールを入れる必要は全くなかった。
台座に重り用としてゴム版をつけたがまだ軽い。水中モーターに鉛の板を仕込み、ようやく安定するようになった。

たい焼き君最終

ついに完成。たい焼き型サイボーグ、名づけて「たい焼き君」。
さあ、たい焼き君、海へ行こうか。

海とたい焼き君

泳げ!たい焼き君

たい焼き君を連れて海にやってきた。
さあ、自由に泳ぎ給え、たい焼き君!

水面を泳ぐたい焼き君

泳いだ!
先祖たちが憧れて止まなかった夢。海で自由に泳ぐこと。
その夢をサイボーグ化によってついに叶えたのである。
しかも食べられる心配もない。サイボーグだから。
その泳ぐ様子を動画でもどうぞ。

(動画)水面を泳ぐたい焼き君

水中では水中モーターが歓喜のうなりをあげる。
そうだ、きみは自由だ。もう毎日毎日、鉄板で焼かれなくてもいいんだ!

水中を泳ぐたい焼き君

(動画)水中を泳ぐたい焼き君

たい焼き達の夢を叶えられて満足である。
しかし、波があるところでは水中モーターのパワーが足りず、翻弄される。

(動画)たい焼き君、翻弄される

その結果、あえなく砂浜に打ち上げられることになった。
海はやっぱり厳しいのだ。

打ち上げられるたい焼き君

ロケ地:徳之島

たい焼きを泳がせたのは徳之島の喜念浜ビーチ。たい焼きを泳がせるために徳之島へ行ったわけではもちろんない。
徳之島は奄美大島からフェリーで3時間半ほどの離島。
成田からバニラエアで奄美大島へ向かう際、空港の荷物検査でたい焼きに突っ込まれたらなんて説明しよう、と少々不安だったが何事も無く通過。
奄美大島で1泊し、翌朝フェリーで徳之島へ。

クイーンコーラル

そして4月の徳之島では珍しいという、ずっと雨&低温の中、海岸でひとり、たい焼きを泳がせてきたのだ。少しは同情してくれてもいいのではないだろうか。

負傷

やっぱり塩水でふやけてしまったのか、少し表面が剥がれていた。それも名誉の負傷。たい焼き君、お疲れ様。