2014年03月03日

「佇む、村の守り神たち。」【高円寺 となりの歴史散歩 第四回】

佇む、村の守り神たち。

高円寺の商店街のひとつ、庚申(こうしん)通り商店街。
人通りの絶えない、活気のある商店街だが、その途中に、この商店街の由来となった「庚申塔(こうしんとう)」がひっそりと佇んでいることをご存知だろうか。

(この記事は、2012年12月発行の高円寺タウンマガジンSHOW-OFF 49号に掲載した記事に編集を加えたものです)

庚申通り商店街
高円寺・庚申通り商店街

庚申通り商店街

庚申通り商店街は、高円寺の北側、純情商店街の西側から、早稲田通りまで続く商店街である。
生活から娯楽まで様々な店舗が並び、平日も週末も、朝から夜まで人通りが絶えることはない。
その中ほどに、ひっそりとあるのが、この商店街の名前の由来にもなっている庚申塔(こうしんとう)である。

庚申塔とは

庚申塔とは、中国より伝来した道教に由来する「庚申信仰」に基づいて建立された石塔のことを言う。
庚申信仰は、道教の考え方で、60日ごとの庚申の日は人の心が乱れやすいといわれており、その日に禁忌の行事を行ったもの。
平安時代から行われており、これが次第に変化して、宴会を開いて夜を徹する行事、庚申待(こうしんまち)になった。

この庚申待を、3年18回続けた記念に建立されたのが庚申塔である。
庚申信仰の本尊である青面金剛(しょうめんこんごう)が掘られるほか、申は干支において猿に例えられることから、「見ざる、言わざる、聞かざる」の三猿が掘られる。また、神道の影響を受け猿田彦の命を描いたものもある。

災難が集落に入らないよう、街道から集落への出入り口などに設置された。
高円寺には現在(取材当時2012年12月)、4箇所にこの庚申塔が残っている。

庚申塔(1) 庚申通り商店街

庚申塔(1) 庚申通り商店街
高円寺北二丁目38

青面金剛と三猿が掘られた庚申塔。記録によると、正徳六年(1716)に作られた。
商売繁盛、火防の神として、この近辺に住む人達に大事にされてきた。

庚申塔(2) 環七脇

庚申塔(2) 環七脇
高円寺南五丁目32

庚申塔、地蔵、千手観音像が並んでいる。
元禄十四年(1701)に建立された。青梅街道からの災難を防ぐために設置。

庚申塔(3) 高円寺陸橋近く

庚申塔(3) 高円寺陸橋近く
高円寺南一丁目11-8

鳥居も設置された庚申塔。青面金剛と三猿が掘られている。共に設置されている阿弥陀如来像は寛文十一年(1670)建立の、区内最古の阿弥陀如来石仏。中野方面から疫病や災難が入ってこないように祀られた。

庚申塔(4) 新高円寺通り沿い

庚申塔(4) 新高円寺通り沿い
高円寺南三丁目27

延宝元年(1673)と、享保元年(1716)建立の庚申塔。
もとは道の北側に災難除けの守り神として設置されていたものが、昭和48年(1973)に建立300年を記念して今の場所に移された。

高円寺庚申塔マップ

今回は、高円寺の庚申塔、4箇所をめぐってみた。昔の人達の信仰を集めたものが、今も我々の生活のそばにあり、今も大切にされている。そこにロマンを感じませんか。

解説板

落語にも「庚申待」という話があり、前述した庚申待の夜が舞台となっています。